01.28.02:27
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08.29.23:33
小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1 その4
皆で会う日は、驚くほど早く訪れた。僕らは毎週のようにダイアナに来ているのだから、いつでも良いが、由美子の方が友達と予定を合わせるのに時間を要するだろうから、早くても二、三週間後だろうと思っていたのだが、結局は翌週の土曜日になった。僕とMickyは昼間からRichardに呼び出され、新しい服の買い物に付き合わされていた。思えば、こうして昼間から会うのは随分久しぶりな気がする。卒業して、皆就職してからは、会うのはほとんど夜になった。タバコを吸い、酒を飲む行為が社会人の、いや大人の特権のような気がして、そのスタイルに固執しているうちに、ダイアナと出会ったためだ。
Richardはすでに一時間近くも、Mickyの勧めで来た古着屋で悩み続けている。色々と物色して、体に当ててみるのだが、どうも納得がいくものが無いらしい。僕たちも一緒になって、Richardに似合う服を探すのだが、なかなか決まらない。店を転々とする事三時間、ようやくRichardの服選びが終わった。Richardが選んだのは、深い赤地に襟と袖の先が黒の開襟シャツと、黒のヴィンテージ物のスラックス。靴もヴィンテージ物の黒の革靴。さすがに大好きな娘に会うだけあって、いつもとは気合の入り方が違う。
由美子達とは、元町の駅で待ち合わせになっている。今はすでに四時半。待ち合わせの時間は七時半だが、一度帰るには時間が無いし、待つには時間がありすぎる。そこで僕たちは、これまで付き合ったお礼代わりに、Richardに奢らせて、近場のカフェに行く事にした。三時間も付き合わされたのだ。コーヒー代ぐらい安いものだ。
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*この小説はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。
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08.29.00:01
小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1その3
ステージが終わった後、僕たちは三人揃ってトイレに行った後、席に戻った。その間中、僕とMickyは由美子と何を話していたのかと問い詰めたが、Richardは話そうとはしなかった。それは話したくないと言うのではなく、どこかもったいぶっているような感じだった。
「で、何があったんだよ」
席に着き、水割りを煽った後、Mickyが出し抜けに訊いた。僕も続いて、「もういい加減教えてくれても良いだろう」と、促した。
彼に何か良い事が起こったのは、間違いない。だから厳密に言えば、この問いかけは、Richardと由美子の間に何があったのかを聞いているのではない。ただ、彼の身に起こった幸運な出来事を聞いて、その喜びを分かち合いたいだけなのだ。
それでもRichardは、笑顔で「どうしようかなぁ」などとのたまって、話そうとはしない。しばらくそんな押し問答が続いた後、ついにMickyが、「もういいよ。なぁ」と僕に向かって言った。僕も、「そんなに話したくないなら、いいよ」と、Richardに言った。
もともと、もったいぶっていただけのRichardは、血相を変えて何度も謝りながら、訊いてくれと懇願してきた。僕たちは、しばらく知らぬ振りをしていたが、そこまで言うなら、聞いてやろうと、答えた。
聞いてみると、Richardの話はそれほど大したものではなかった。
彼が由美子をダイアナに誘い、彼女が二人だけではなく僕たち三人と、彼女も学生時代の友人を連れてという条件付で、応じてくれたのだという。確かに誘って来てくれると言う状況は嬉しいのだろうが、それでも二人きりで会ってくれないと言う所に、僕とMickyは、それほど喜ぶ事だろうかと感じた。その点をRichardに話すと、彼はまずは皆であって、そのうち二人で会えるようになれるよう、段階を踏むのだなどと、もっともらしい事を言っている。だが、最近好きになった相手ならともかく、もうかれこれ四、五年近くも経つ相手であり、しかも二回振られているというオマケ付である。そういう段階は、とうに過ぎているような気がする。Mickyも僕と同じ意見のようで、もういい加減諦めたらどうだと、諭すような口調で言った。
Richardは冷水をかけられたようで、面白く無いという顔をしている。Mickyの提言を受け入れる気など、さらさら無いといった顔だ。
*この小説はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。
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08.28.00:20
お気に入りの店:洋服
店の名前はJEANS STATION~ジーンズ ステーション~。このお店は兵庫県の加古川、そして姫路に2店舗あるが、その中でも僕が利用しているのは、加古川店だ。この店は、特にそういうものを中心に置いている店ではないが、行くと大抵1、2点これはという品物が見つかる。実は昨日も久しぶりに同店を訪れ、ボーリングシャツを1着買った。値段は通常14000円くらいのものが、夏物の処分セールでなんと半額。僕にとってはけして安い買い物ではないが、嫁さんも良いと言ってくれたので、お言葉に甘えて買わせてもらった。
ちなみに買ったシャツはこんな感じ。
あと、あまりやる気のなさそうなHPもあるので、一応書いておく。
JEANS STATIONホームページ
ちなみに、一番上の画像は、当記事とは全く関係ありません。
08.26.00:08
小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1 その2
Mickyの話によれば、Richardは入り口、レジカウンター隣の公衆電話で電話中との事だった。これだけ長い間話をしていると言う事は、相手は女に違いない。正確に誰かまではわからないが、それだけは断言できる。その相手についても、おおよその見当はつく。
Richardには、高校時代から思いを寄せている女性が居る。実を言えば、Richardは高校時代に一度、そして社会人になってからもう一度と、二回告白をして、ことごとく振られている。それでもこうして、電話が出来る仲で有り続ける事が出来る関係を維持しているのだ。普通で考えれば、嫌がられ、疎まれそうなものだが、そうならないのは、Richardの人柄と言うか、不思議な魅力のなせる業なのかもしれない。とても、僕には真似出来そうに無い。いや、おそらくほとんどの人間が、不可能では無いだろうか。
ニール・セダカの”恋の片道切符”を耳にしながら、そんな事を考えていると、Richardが悪びれた風もなく、澄ました顔で帰ってきた。もうすぐステージが始まると言うころだ。自由奔放にもかかわらず、どこか憎めないというところも、彼の特技なのだ。
「相手は由美子か」
座ろうとするRichardを小突きながら、Mickyが冷やかすような口調で訊いた。
「そうだよ」と答える彼の顔には、なぜ分かるんだと書いてあるようでもあり、何か言い事があったのか、喜びを隠し切れないといった感じだった。由美子とは、もちろん先述した女性の事である。
何をそんなにしゃべる事があるんだ等と、心配した分だけいたぶっているうちに、ステージが始まった。このステージ最初の曲はRichardの浮かれた心を見透かしたかのような、アネット・ファニセロの”パイナップルプリンセス”。南国の雰囲気を髣髴とさせる、陽気で軽快なメロディのナンバーだ。Richardの歓喜が伝染したのと、女性ヴォーカルの楽しげな歌声も後押しして、僕たちは終始笑顔で、このステージを踊り続けた。
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*この小説はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。
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08.25.23:04
小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1目次
無事に神戸ダイアナへと復帰したLover Shakers。三人の秋の物語が今始まる…。
2007年8月24日 連載開始
2007年12月13日連載終了
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~目次~
1ページ ステージが終わり、僕とMickyが席に戻った後も、
2ページ 席に近付くにつれ、Mickyの表情が、
3ページ ステージが終わった後、僕たちは
4ページ それにしても、Richardは逞しい。
5ページ 疲れきった僕たちに、
6ページ 僕たちはコーヒー2杯だけで
7ページ 彼女に告白をしたのは、
8ページ 久しぶりに見る直美は、
9ページ 僕達六人は、雑踏の中を笑顔を
10ページ 席は歩いていた時と同じく、
11ページ それにしても、直美はよく僕に
12ページ この曲では間奏の間、ツイスト
13ページ Richardは僕の予想に反して、
14ページ 静かに時間だけが流れてゆく。
15ページ ダンスフロアでは、ダンスにかこつけて
16ページ 集中するとは言っても、
17ページ 「チークダンスって、
18ページ 今、直美は僕の腕の中にある。
19ページ 演奏の終了とともに、
20ページ ステージが終わり、
21ページ Mickyの言葉に、
22ページ 今日4回目、そしてRichard
23ページ 緊迫した僕達とは対照的に、
24ページ 失恋女性の哀切極まりない
25ページ 僕達の夜は終わった。
26ページ いつものように、三人で
27ページ まるで芋虫が起き上がった様な
28ページ 「結婚、結婚って、
では、お楽しみください。
