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  • 11/01/07:54

08.29.00:01

小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1その3

 ステージが終わった後、僕たちは三人揃ってトイレに行った後、席に戻った。その間中、僕とMickyは由美子と何を話していたのかと問い詰めたが、Richardは話そうとはしなかった。それは話したくないと言うのではなく、どこかもったいぶっているような感じだった。
「で、何があったんだよ」
 席に着き、水割りを煽った後、Mickyが出し抜けに訊いた。僕も続いて、「もういい加減教えてくれても良いだろう」と、促した。
 彼に何か良い事が起こったのは、間違いない。だから厳密に言えば、この問いかけは、Richardと由美子の間に何があったのかを聞いているのではない。ただ、彼の身に起こった幸運な出来事を聞いて、その喜びを分かち合いたいだけなのだ。
 それでもRichardは、笑顔で「どうしようかなぁ」などとのたまって、話そうとはしない。しばらくそんな押し問答が続いた後、ついにMickyが、「もういいよ。なぁ」と僕に向かって言った。僕も、「そんなに話したくないなら、いいよ」と、Richardに言った。
 もともと、もったいぶっていただけのRichardは、血相を変えて何度も謝りながら、訊いてくれと懇願してきた。僕たちは、しばらく知らぬ振りをしていたが、そこまで言うなら、聞いてやろうと、答えた。

 聞いてみると、Richardの話はそれほど大したものではなかった。
 彼が由美子をダイアナに誘い、彼女が二人だけではなく僕たち三人と、彼女も学生時代の友人を連れてという条件付で、応じてくれたのだという。確かに誘って来てくれると言う状況は嬉しいのだろうが、それでも二人きりで会ってくれないと言う所に、僕とMickyは、それほど喜ぶ事だろうかと感じた。その点をRichardに話すと、彼はまずは皆であって、そのうち二人で会えるようになれるよう、段階を踏むのだなどと、もっともらしい事を言っている。だが、最近好きになった相手ならともかく、もうかれこれ四、五年近くも経つ相手であり、しかも二回振られているというオマケ付である。そういう段階は、とうに過ぎているような気がする。Mickyも僕と同じ意見のようで、もういい加減諦めたらどうだと、諭すような口調で言った。
 Richardは冷水をかけられたようで、面白く無いという顔をしている。Mickyの提言を受け入れる気など、さらさら無いといった顔だ。


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*この小説はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。
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