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  • 05/16/10:56

08.29.23:33

小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1 その4

 それにしても、Richardは逞しい。普通、二回も振られた相手に、ここまで頑張れるものだろうか。それに、今度は上手くいくという自信はどこから涌いてくるのだろうか。ともかくRichardがまだ由美子の事を諦めていない以上、その想いは誰にも止める事はできない。それがどんなに無謀な行為であろうとも、それでもなお想いを抱かずには居られないのが恋なのだ。少なくとも僕はそう思う。

 皆で会う日は、驚くほど早く訪れた。僕らは毎週のようにダイアナに来ているのだから、いつでも良いが、由美子の方が友達と予定を合わせるのに時間を要するだろうから、早くても二、三週間後だろうと思っていたのだが、結局は翌週の土曜日になった。僕とMickyは昼間からRichardに呼び出され、新しい服の買い物に付き合わされていた。思えば、こうして昼間から会うのは随分久しぶりな気がする。卒業して、皆就職してからは、会うのはほとんど夜になった。タバコを吸い、酒を飲む行為が社会人の、いや大人の特権のような気がして、そのスタイルに固執しているうちに、ダイアナと出会ったためだ。
 Richardはすでに一時間近くも、Mickyの勧めで来た古着屋で悩み続けている。色々と物色して、体に当ててみるのだが、どうも納得がいくものが無いらしい。僕たちも一緒になって、Richardに似合う服を探すのだが、なかなか決まらない。店を転々とする事三時間、ようやくRichardの服選びが終わった。Richardが選んだのは、深い赤地に襟と袖の先が黒の開襟シャツと、黒のヴィンテージ物のスラックス。靴もヴィンテージ物の黒の革靴。さすがに大好きな娘に会うだけあって、いつもとは気合の入り方が違う。
 由美子達とは、元町の駅で待ち合わせになっている。今はすでに四時半。待ち合わせの時間は七時半だが、一度帰るには時間が無いし、待つには時間がありすぎる。そこで僕たちは、これまで付き合ったお礼代わりに、Richardに奢らせて、近場のカフェに行く事にした。三時間も付き合わされたのだ。コーヒー代ぐらい安いものだ。

 

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*この小説はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。
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