03.11.11:02
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10.20.23:16
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 47回目
ステージが終わった後も、結局僕はまだカウンター席に腰を落ち着けていた。別にRichardの背中に悪気を感じたからでは無い。恐らく今日で最後となるダイアナを、思い出として心に詰め込むために、こうして座っているのだ。
思えば、あの出来事以来、何度か『もう二度と来るまい』と考えた事はあったけれど、これほど心が落ち着いた状態でそう考えた事は一度も無かった。大抵は、ほとんどパニック状態か、その直後にそう考えていたからだ。
でも今回は明らかに違う。冷静に、静かな心持で導き出した答えだ。
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思えば、あの出来事以来、何度か『もう二度と来るまい』と考えた事はあったけれど、これほど心が落ち着いた状態でそう考えた事は一度も無かった。大抵は、ほとんどパニック状態か、その直後にそう考えていたからだ。
でも今回は明らかに違う。冷静に、静かな心持で導き出した答えだ。
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10.18.22:36
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 46回目
予想通り、奴は僕をダンスフロアに誘った。それはもう捲くし立てるような感じだ。僕が「今日は遠慮しておきます」と言っても聞く耳を持たない。「善は急げだ」などと訳の分からない理由を持ち出して、なおも食い下がる。その様は、ほとんど駄々っ子のようだ。
「いい加減にしてください。そんなにすぐに気持ちが切り替えられるわけ無いでしょう」
僕が特に声を荒げることなくそう言うと、奴は面食らったように目を丸くしながら、
「そ、そうだよな。わりぃ」
と言って、トイレから出て行った。その背中は寂しげに落ちていて、どうしても言い過ぎただろうかと言う感情を起こさせる。あれは彼の演技なのだろうか。それとも天然のものなのだろうか。ふとそんな事を思った。
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「いい加減にしてください。そんなにすぐに気持ちが切り替えられるわけ無いでしょう」
僕が特に声を荒げることなくそう言うと、奴は面食らったように目を丸くしながら、
「そ、そうだよな。わりぃ」
と言って、トイレから出て行った。その背中は寂しげに落ちていて、どうしても言い過ぎただろうかと言う感情を起こさせる。あれは彼の演技なのだろうか。それとも天然のものなのだろうか。ふとそんな事を思った。
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10.17.22:26
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 45回目
例え僕が本心からMickyの言葉を肯定していたとしても、そんなに簡単に割り切れるものではあるまい。少しずつ時間をかけて、彼の言葉を胸に刻みつけ、傷を癒してゆく。恐らくそんなものだと思う。
しかしこの男と来たら、「そうですね」と言う言葉を言ったとたんに、僕がもう踊れるようになったものと思い込んでいる。なんと安易な事か。
そんな僕の気持ちも知らずに、奴は(もうあんな男は”奴”で十分だ)ドアを叩き、「早く出て来い」を繰返している。仕方なく僕は、出来る限り平静を装い、静かにドアのロックを解除し、外へ出た。
「そんな大きな声を出されたら、恥ずかしいじゃないですか」
僕は営業スマイルで、奴にそう言った。
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しかしこの男と来たら、「そうですね」と言う言葉を言ったとたんに、僕がもう踊れるようになったものと思い込んでいる。なんと安易な事か。
そんな僕の気持ちも知らずに、奴は(もうあんな男は”奴”で十分だ)ドアを叩き、「早く出て来い」を繰返している。仕方なく僕は、出来る限り平静を装い、静かにドアのロックを解除し、外へ出た。
「そんな大きな声を出されたら、恥ずかしいじゃないですか」
僕は営業スマイルで、奴にそう言った。
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10.16.22:51
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 44回目
再びドアをノックする音が響いた。今度のは一際音が大きく、ドアもビリビリと振動している。乱暴と言っても良い。さすがにもう限界に近づいているのだろうか。もうすぐステージも始まることだし、ステージの間に店を出れば良い。そう考えた僕が、この哀れな男の為にドアを開けてやろうと腰を浮かせた時、再び扉を打ち鳴らす音が響き、もう二度と聞くまいと思っていた声が追い討ちをかけた。
「なにやってんだぁ。ステージ始まっちまうぞぉ。一緒にツイスト踊ろうぜ」
Richardの声である。それにしてもなんと能天気な事か。僕は本気で『この男は馬鹿か?』と感じていた。一度は見直しかけたことが、全くの間違いであったと心底思った。
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「なにやってんだぁ。ステージ始まっちまうぞぉ。一緒にツイスト踊ろうぜ」
Richardの声である。それにしてもなんと能天気な事か。僕は本気で『この男は馬鹿か?』と感じていた。一度は見直しかけたことが、全くの間違いであったと心底思った。
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10.14.22:51
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 43回目
しかし、これ以上彼らに何も期待していない僕は、その重いとは正反対の言葉を口にした。
「そうですね」
心のこもっていない生返事。それを彼らがどう取ろうが、もう僕の知った事ではなかった。これ以上、この話題で彼らと話を続ける気は無かったからだ。
時計に目をやると、もう次のステージは目前に迫っていた。とは言っても、僕にはその状況は見えない。あの後僕はトイレに行くと言って席を立ち、特に用も無いのに個室に篭っていたからだ。これ以上彼らと話をする気が無い以上、無駄な会話を続けるのも面倒だったし、店を出るべきかどうかと迷っていたのだ。
途中何度かドアをノックされたが、全部無視した。ここのトイレには個室は一つしか無いから迷惑千万な話だが、知らない誰かの生理現象よりも今時分が抱える問題の方が、はるかに重要に思えたからだ。
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