07.21.02:34
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10.24.22:57
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 51回目
前回同様、ステージからトイレに直行していたMickyとRichardが席に帰ってきた。僕は心の奥底を隠すように笑顔を作って彼らを出迎えた。このやり場の無い憤怒を、彼らにぶつける事も考えたが、この最後の夜くらいは、安穏と過ごしたいと言う思いのほうが強かったからだ。それにそもそも彼らに何の罪も有りはしない。ただ、僕の心の内を正しく理解していないだけに過ぎないのだ。
そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、Richardがまた余計な口を挟む。
「ずっと考えてたんだがなぁ…。そもそもそいつらが笑ってたのはアンタだったのか?別に名指しされたわけじゃないんだろ。だったら、別の誰かって言う可能性だってあるんじゃないか?」
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そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、Richardがまた余計な口を挟む。
「ずっと考えてたんだがなぁ…。そもそもそいつらが笑ってたのはアンタだったのか?別に名指しされたわけじゃないんだろ。だったら、別の誰かって言う可能性だってあるんじゃないか?」
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10.23.22:53
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 50回目
そしてその理由を僕が受け入れた頃、苦しみは憎しみに転嫁されていた。僕の心を内側に押さえ付けようとしていた力は、その反発とも言える力との相乗効果でその勢いを増したものの、そのやり場を苦慮して、未だ僕の中で暴れ狂っている。
僕がダイアナに通えなくなる理由の本質。全ての原罪。
それは僕を一人残し去っていった三人にある。
彼らが僕から離れてゆかなければ、あんな若造の誹謗中傷や哄笑など、一笑の元に伏す事ができただろう。
彼らが僕から離れてゆかなければ、僕は今でも笑顔でダンスフロアに立っていただろう。
彼らが僕から離れてゆかなければ、Lover Shakersの二人とも違った出会いがあっただろう。
僕は体から溢れ出しそうな勢いで燃え盛る憎悪の猛火に油を注ぐように、ウィスキーを煽った。
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僕がダイアナに通えなくなる理由の本質。全ての原罪。
それは僕を一人残し去っていった三人にある。
彼らが僕から離れてゆかなければ、あんな若造の誹謗中傷や哄笑など、一笑の元に伏す事ができただろう。
彼らが僕から離れてゆかなければ、僕は今でも笑顔でダンスフロアに立っていただろう。
彼らが僕から離れてゆかなければ、Lover Shakersの二人とも違った出会いがあっただろう。
僕は体から溢れ出しそうな勢いで燃え盛る憎悪の猛火に油を注ぐように、ウィスキーを煽った。
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10.22.22:48
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 49回目
しかし、落ち着き払って導き出した答えとは言え、僕にとって苦渋の選択である事に変わりは無い。何もこの店が嫌いになったから、通わなくなる訳では無いからだ。僕が今もダンスフロアに立っていたなら、頭の片隅にさえ見出せない答えであると言う事に、何の変化も無い。
その思いの分だけ、何故そうなってしまったのかと言う思いは強くなる。頭を掻き毟り、身を捩り、言葉にならない叫び声を上げたい衝動に駆られながら、どうしても受け入れなければならない答えの理由を模索する。でも本当のところ、それはポーズでしかない。理由の本質は、実はもう導き出しているのだ。だから正確に言えば、僕は理由を探してのた打ち回っているのでは無く、答えと同じくらいに受け入れがたい理由の為に、のた打ち回っているのだ。
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10.21.23:28
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 48回目
きっかけは、奇しくもMickyの言葉だ。
『ダンスはあくまで楽しみであって、それ以上でもそれ以下でもない』と彼は言った。だから、踊ることに対して、誰にも咎められる権利は無いし、気にする必要も無いのだと。だが、それは逆に言えば、踊ることを止めるにあたっても同じことが言えるのではないか。僕がこの店に通うことをやめたとしても、彼らはおろか、店の従業員も、僕を知る常連客も、僕を止めたり、咎めたりすることはできないと言う事になる。その事に気付いた時、僕の中で、そろそろ引き際であると言う答えが軽い音を立てて、心に転がり落ちてきたのだ。ちょうどそれは、ステージのラスト3曲が始まった頃で、全速力で疾走するようなロックンロールナンバーが、終焉に向けて転がり落ちてゆく僕のBGMのようで、僕はかげりのある笑みを浮かべながら、ダンスフロアを見ていた。
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『ダンスはあくまで楽しみであって、それ以上でもそれ以下でもない』と彼は言った。だから、踊ることに対して、誰にも咎められる権利は無いし、気にする必要も無いのだと。だが、それは逆に言えば、踊ることを止めるにあたっても同じことが言えるのではないか。僕がこの店に通うことをやめたとしても、彼らはおろか、店の従業員も、僕を知る常連客も、僕を止めたり、咎めたりすることはできないと言う事になる。その事に気付いた時、僕の中で、そろそろ引き際であると言う答えが軽い音を立てて、心に転がり落ちてきたのだ。ちょうどそれは、ステージのラスト3曲が始まった頃で、全速力で疾走するようなロックンロールナンバーが、終焉に向けて転がり落ちてゆく僕のBGMのようで、僕はかげりのある笑みを浮かべながら、ダンスフロアを見ていた。
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10.20.23:16
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 47回目
ステージが終わった後も、結局僕はまだカウンター席に腰を落ち着けていた。別にRichardの背中に悪気を感じたからでは無い。恐らく今日で最後となるダイアナを、思い出として心に詰め込むために、こうして座っているのだ。
思えば、あの出来事以来、何度か『もう二度と来るまい』と考えた事はあったけれど、これほど心が落ち着いた状態でそう考えた事は一度も無かった。大抵は、ほとんどパニック状態か、その直後にそう考えていたからだ。
でも今回は明らかに違う。冷静に、静かな心持で導き出した答えだ。
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思えば、あの出来事以来、何度か『もう二度と来るまい』と考えた事はあったけれど、これほど心が落ち着いた状態でそう考えた事は一度も無かった。大抵は、ほとんどパニック状態か、その直後にそう考えていたからだ。
でも今回は明らかに違う。冷静に、静かな心持で導き出した答えだ。
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