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  • 07/27/22:34

09.04.22:51

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 16回目

 僕の仲間は僕を入れて四人。みんな高校時代からの友人だった。くだらない事で馬鹿騒ぎし、恋愛の相談をして盛り上がり、苦楽を共にしてきた親友だった。卒業して就職や進学と、行き先は変わってしまったけれど、僕達の付き合いには何の変化も無かった。
 飲み歩いているうちに見つけたのが、このダイアナだった。四人そろってこの店のファンになり、最低でも月に1、2回は通い詰め、僕らの時間は永遠に続くものと信じて疑わなかった。
 だが、意外なほど早く、崩壊の始まりはやってきた。大学に行っていた一人が、就職で関東に行く事になったのだ。考えてみれば、簡単に思いつきそうな別れだった。彼が東京に旅立つ前に、ダイアナで馬鹿みたいに踊りまくった事を、今でも覚えている。
 ひとりが欠けた後は、もう崖から転げ落ちるような感じだった。

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09.03.23:21

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 15回目

 僕は笑みを作ったつもりだが、恐らく引きつっていた事だろう。どうしても心の底から許す気にはなれなかったからだ。でも、ここは快い彼の友人に免じて……と言ったところだ。
 快い彼の友人は、自らをMickyと名乗った。良い人かもしれないが、やっぱり変わっている。多分僕はこの時も、ぎこちない笑みを浮かべていたかも知れない。
 僕はその後も、積極的に彼らの会話に加わる事は無かった。何か話を振られれば、一言二言受け答えをするといった程度だ。
 彼らは現代の一般人とはかけはなれた格好をしている。ポマードでサイドの髪を頭皮に張り付かせ、天辺を立ち上げたリーゼント。街中ではあまり見かけない開襟シャツ。ダイアナでも滅多にお目にかかれない尖がった靴。
 だが、だからと言って彼らの会話まで特別な訳では無い。会話はいたって平凡。何処ででも耳にする世間話のようなものだ。否応無く飛び込んでくる彼らの会話を耳にしながら、僕はここに通いだした当時の事を思い出していた。
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09.02.22:56

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 14回目

 隣の二人の存在など無いかのように、僕は機械的に注文をウェイターに伝え、続いてタバコを取り出す。軽やかで涼しげな音を楽しみつつ、ジッポーのフタを開け火をつける。遠くに視線を固定しながら、僕は大きく煙を吐き出した。落ち着き無く今度は腕時計に目をやる。時間はほぼ9時。次のステージまで30分はある。ついてない。僕にとって苦悩の30分になりそうだ。
 そんな事を考えていると、僕の意表をついた言葉が耳に届いた。だがそれは、Richardの声では無かった。
「どうも、すみませんでした」
 僕が顔を向けると、Richardの隣の男性、黒い開襟シャツの男が席を立って頭を下げていた。戸惑いを隠せない僕に、男はなおも続けた。
「Richardも悪気が有った訳では無いんです。ただ、気晴らしになればと思ってやった事なんで、勘弁してやってください」
 Richardの連れだから、とんでもない男と思っていたが、どうやら違ったようだ。僕も席を立ち、軽く頭を下げた。
「いえ。もう気にしてませんから。それに僕の態度も悪かったところもあるし…」
「ほら。Richardも謝れよ」
 男に促されて、Richardが頭を下げる。
「悪かったな」
 その顔は神妙とも取れるが、どこかふて腐れているようにも見える。

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09.01.23:31

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 13回目

 地下へと続く階段を下りながら、僕は祈り続けた。どうかRichardがいませんように―と。僕の祈りが届いたのか、額の中で微笑みかけるマリリンモンローが目に入る。女神の微笑が現実となりますように。
 いらっしゃいませの声の後、一人であることを告げ、カウンター席へと薄暗い店内をウェイターについて進んで行く。180センチは軽く超えるであろう大柄なウェイターの背中で視界が遮られ、カウンターの様子は良く見えない。心の中でなおも祈り続ける。
 ウェイターが立ち止まり、席を指されてハッとなった。ウェイターの手の向こう。赤と黒の開襟シャツが二つ。そのうちの一つの顔は、まがう方なきRichardその人だった。入り口近くのカウンター席に変えてもらおうかと振り返ってみたものの、すでに満席だった。祈るあまり、そんな事も見えていなかったらしい。せめて隣り合わせは避けようと、ステージを見ることは出来ないが、バーカウンターに変えてもらおうと口を開き掛けた時、忌々しい声が聞こえた。もちろんRichardの声だ。
「おうっ。待ってたんだぜ」
 誰が頼んだ―
 そう言いかけて、止めた。言葉を交わすことさえ、煩わしく思えたからだ。止む無く僕は席に着いた。

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08.31.23:58

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 12回目

 一度は背を向けようかとも考えたが、僕は何かにとりつかれたように、ドアの取っ手を引いていた。まずは、ダイアナ依存症の勝利。

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