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03.10.23:42

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  • 03/10/23:42

11.26.22:18

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 67回目 

 とっくに眠気は取れている思考は、随分前から同じ事ばかりを考えている。
 もうダイアナには行かないんだよな――
 別に未練は無いつもりだが、ここまで思考の堂々巡りを続けていると、それさえも怪しくなってくる。僕はその事実に真っ向から対立するほどの気力さえ無い為、否定する気にはなれなかったが、未練に流されるほど馬鹿では無いらしい。同じ事を繰り返したところで、所詮結果は同じなのだ。

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11.24.22:16

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 66回目 

 人を殴って爽快感が得られると言うのは、少なくとも僕にとっては間違った知識のようだった。もちろん最終的にはしてやられたという結果に終わったと言う事もあるかもしれないが、それは理由の一つに過ぎない。喧嘩慣れしていない僕の拳には確実にダメージがあり、アルコールと言う名の鎮痛剤が抜けた僕の頭に、二日酔いがもたらす痛みとは別の痛みが、波打つように右手から絶え間なく送信されているのが、最も大きな要因だ。
 気分はもちろん最悪だった。昨日の夜から吐き続けで、もう胃液さえ底をついているであろうに、未だに定期的に吐き気が襲ってくる。もちろん食欲なんてものは遥か地平線の彼方に消えてしまっているし、気力なんてものは元から存在すらしていないかのように失せてしまっている。もう昼の2時をとうに過ぎていると言うのに、僕はトイレ以外にはベッドから離れられずにいた。

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11.22.23:16

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 65回目 

「それに、あなたを笑ったと言う人たちのこと。彼らが笑っていたのも、あなたじゃない。少なくとも、僕はそう思いたい。その方がずっと楽しいじゃないですか。あなたにも、そう考えるようになってもらいたい。もちろんすぐは無理だろうけど。それでもしまた踊りたくなったら、またダイアナに来てほしい。店が潰れていない限りは、僕達はそこにいるだろうから」
 彼の言葉を聴いているうちに、僕の心の中で何かが壊れたような気がした。それが何なのかは僕には分からなかったけれど。
「あなたを縛り付けて申し訳なかった。僕が言いたいのはそれだけです。Richard。もう行こう」
 Richardは僕を乱暴に立たせ、ご丁寧に背中の埃まで払ってくれた。最も払うと言うよりは、叩くと言うほど力強いものだったが。
 二人は振り返ることなく再びあの扉を開け、ダンスフロアへと帰っていった。僕はと言うと、頼まれもしないのにその背中を見送り、彼らが視界から消えた後もぼんやりと彼らの残像を眺めていた。
 だが彼の言葉が心に響き、僕のこれまで抱えていた苦悩や、親友に対する憎悪が雲散霧消してしまうほど、心に変化が起こったわけでは無い。実際もう一度あの扉をくぐろうなどとは微塵も思ってはいないのだから。それでも、何か心に小骨のようなものが引っかかってしまったのは事実だ。

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11.19.23:21

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 64回目 

「お節介なRichardはともかく、別に僕はあなたを引きとめようとも、あなたが決めたことを非難するつもりはさらさら無いんです。ダイアナに来ないという選択をする事も、また自由だからね。僕の話を聞きたくなければ、独り言だと思ってくれても良い」
 僕はそれならばとばかりに、首を横に向けた。それでもMickyはその言葉通り、僕の視界の片隅で眉をしかめる事もなく、語調を変化させる事も無く、淡々と、それこそ独り言のように言葉を紡いだ。
「あなたは裏切られたといっていたけれど、誰もあなたを裏切っていないと思うし、あなたもそれを心の底から恨んでいる訳じゃないと思う。ただあんな事があって、心が乱れたから、そんな風に思ってしまっただけだと…」
 何を分かったような事を――
 思わずそう反論しかけた僕は、慌てて視線を元に戻した。視線の先には、自動販売機の蛍光灯が、夜の闇を切り取ったように寒々と光っている。僕はその光に習うように、さらに心の温度を下げ、感情を遮断した。なおもMickyの言葉は続く。

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11.17.23:02

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 63回目 

「そう言えば、お前らもJerryと言う男にすでに裏切られてるんだったな。次に裏切るのはどっちだ?」
 せせら笑う僕の腕を、Richardが可動不能な方向に締め上げる。僕は苦痛に顔をゆがめながらも、歯を食いしばり悲鳴を出す事だけは免れた。
「やめないか」
 MickyがRichardを諭し、痛みが治まる。RichardはMickyに不満を並べ立てるが、Mickyは首を振るばかりで、Richardの舌打ちが耳元で響く。腕の痛みはまだ尾を引いていたが、僕は彼らになど屈するものかと言う意味をこめて、皮肉な笑みを浮かべた。
 だがMickyは全く意に介さずといった感じで、態度にも表情にも毛ほどの変化も見られない。僕は次第に、この訳知り顔で知者ぶった男を、如何にすれば狼狽させる事ができるのかと言う事に思考を費やしていた。

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