03.10.19:55
[PR]
08.27.22:48
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 8回目
立っているのも辛くなり、頼りない足取りで踵を返そうとしたその時、自分の右足に左足がからまり、僕は無様に倒れた。
だから、嫌だって言うのに―
心の中でRichardに対して悪態をついたとき、僕の耳の中で微かに嘲笑が響いた。這いつくばったまま視線を上げると、すぐ脇のテーブルに腰掛けている女性が慌てて顔を背けたように見えた。
僕の脳裏に直接響くように、次々と嘲笑がこだまする。
蔑みに満ちた、罵詈雑言。
いかなる者をも凍てつかせる、蔑視。
絶える事の無い、哄笑。
その全てが僕に覆いかぶさってくる。
押し潰されそうな僕の肩を、誰かが優しく叩く。視線を向けると、そこにはRichardがいた。
「大丈夫か?」
彼はそう言ったのかもしれない。でも、今の僕にはよく聞き取る事ができなかった。それにもう、フロアには1秒たりとも居たくなかった。僕は彼の手を振り払い、急場の避難場所としてトイレを目指した。
=============================
次回
前回
この物語はフィクションです。
ネット小説ランキング>現代シリアス部門>「小説Lover Shakers」に投票 (月1回)
PR
- トラックバックURLはこちら