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  • 05/16/09:02

08.28.22:13

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 9回目

 しかし今日のトイレへの道は長い道のりだった。なにしろ腰が抜けてしまったかのように、はたまた酔い潰れた中年男性(すでに自分もその部類に入っているのだろうが、認めたくは無い)のように、足が思うように前に出ない。ふらふらとよろけては、他人のテーブルやソファに手を突いてしまう。心に余裕が無いから、「すみません」の一言も言えずに、辛うじて頭だけを下げる。その度に、相手は哀れみとも蔑みともとれる視線で僕を見る。刺すような視線も時折感じる。僕は逃げるように、トイレへ駆け込んだ。

 どれくらいの時間、トイレの個室に篭っていたのだろうか。僕がようやくいくらか平静を取り戻し、トイレの扉を開けた時には、すでにステージは終わっていた。
 僕をあんな目に合わせたRichardの顔など見たくなかったので、このまま席にも戻らずに帰ろうかとも思ったが、あいにくタバコとライターを置いたままだった。タバコはともかく、ライターは永い間愛用してきたジッポーライターだけにおいて行く訳にもいかない。
 僕は憂鬱な気持ちで、カウンターへと足を運んだ。

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この物語はフィクションです。
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