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  • 05/16/09:06

11.01.23:45

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 56回目 

 階段を上りきり、いよいよ最後の扉を開けようとしたその時、再びRichardの声が響いた。話は終わっていないとか、待てとか、そう言った類の言葉だ。僕は振り返るどころか、何の反応も示さずに、聞こえない振りを装い、これまで同様緩慢な動作でドアを押し開いた。
 だがだからと言って、僕が本当に何も感じなかったかと言うと、そうでは無い。僕は内心、心底うんざりしていた。未練たらしい悪女に付き纏われた様な気分だ。だが、彼に嫌悪感を覚える度に、僕の心はダイアナから離れて行く気がする。人間無理強いされればされるほど、反撥心が強まるのだと言う事を、彼は学習するべきなのかもしれない。
 背後で鈍い音が響く。流石に何事かと振り返った僕の目に飛び込んできたのは、扉を開け仁王立ちするRichardと、彼を追いかけてきた風情のMickyの姿だった。
 振り返ってしまったことを後悔しても、まさに後悔先に立たずだ。どうやら静かに幕を引きたいと言う僕の願望は叶えられそうに無い。どうやら彼等は、僕と一悶着起こさなければ気が済まないらしいとしか思えない。僕は争いを好むほうでは無いが、追い詰められれば、もう前に出るしかない。腹を括った途端に、僕の中で行き場をなくしていた憤怒は、獲物を捉えた猛禽類のように嬉々として、一直線に襲い掛かる瞬間を待ち望んでいた。
 
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