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07.19.10:50

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  • 07/19/10:50

12.09.00:10

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 71回目 

 そこまで思考が及んだところで、僕は頬を張るように、湯を思い切り顔に打ち付けた。
 今しがた、同じ事を繰返す事がどんなに馬鹿げている事かと、確認したばかりでは無いかと、自分自身を叱咤してみたものの、どうも納得できないでいる自分がいる。だが、実際にダイアナに足を踏み入れ、またカウンターに縛られる日々を想像してみると、矢張り気が滅入り、先程までの思考から手を引こうと言う気持ちが、見る見るうちに膨らみ、自分の選択は間違いではなかったと再確認するに至った。
 
 垢と共に迷いまでも洗い流した気になり、どこか新しい自分を発見したかのような心持で体を拭っていると、部屋からコニー・フランシスの♪カラーに口紅♪。それが携帯の着信音であると気付くのに、僕は数瞬を要した。

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12.07.16:50

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 70回目 

 親友にさえ疑心暗鬼になり、あまつさえ恨みをも抱いている自分。
 そんな普段は影で鳴りを潜めている自分を見えないように押し戻し、何も無かったようにこれまでと同じ日々を過ごし、昨日の発言など無かったかのような、あるいは酔った勢いから出た心にも無い言葉だと言い放ち、ダイアナのカウンター席に平気な顔をして座り、もしも彼らに出会ったならば、ただひたすら詫び言を並べ立て、過ぎた事と許しを請い、けして好転する事の無い病を胸に秘めたまま、自らに降りかかるあらゆる非難嘲笑から耳を塞ぎ、自らの衝動が萎える、もしくはその命の火が尽きる日まで、ただ無為に当たり障り無く、毒にも薬にもならず、親友と呼べる者が一人もいない、さして広くも無いまるで水溜り程度の交友関係だけを心の糧として生きてゆく。そんな人生を心の底から望んでいるのだろうかと訝しんだ所で、決定的に否定する気にもなれず、かといって積極的に受け入れる気にもなれない。

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12.01.22:39

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 69回目 

 Mickyは誰も僕を裏切ってはいないと言っていた。僕もそれを恨んでいないとも。
 本当ならば、一笑の元に切り捨ててしまいたい言葉だったが、どういう訳か今の僕にはそれが出来ないでいる。かといって受け入れる事はおろか、屈服させられているわけでもない。アルコールの麻痺状態から解放されたばかりで、脳の働きが低下しているのだと解釈したが、心の奥底では完全にそれを否定している自分がいる。
 僕は結局、気休めのような彼の言葉を進んで受け入れることによって、自分の考えをいとも簡単に捨て去り、心の安息をもたらしたいだけなのだろうか。

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11.29.22:14

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 68回目 

 ようやく吐き気が軽減されてきた午後4時過ぎ。
 僕は意を決して、昨日からの垢にまみれた体を洗い流す為に、味気ないユニットバスに熱めの湯を張り、ボロクズのような体を沈めた。
 程なくして、汗がジワジワと顔や頭皮に滲み出て来る。すでに体内において毒物と変わりないものに変化しているアルコールが、汗と共にジワジワと出て行く様に感じながら、視線は虚空を掴もうとしている。
 しばらくは癒されてゆく快楽に痺れていた僕の脳裏に、昨日の出来事が、いや、正確にはダイアナを出てからの記憶を、僕の意思とはまるで関係なく、それでいて拒否反応を示すわけでもなく、見せられるままに魅入っていた。

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11.26.22:18

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 67回目 

 とっくに眠気は取れている思考は、随分前から同じ事ばかりを考えている。
 もうダイアナには行かないんだよな――
 別に未練は無いつもりだが、ここまで思考の堂々巡りを続けていると、それさえも怪しくなってくる。僕はその事実に真っ向から対立するほどの気力さえ無い為、否定する気にはなれなかったが、未練に流されるほど馬鹿では無いらしい。同じ事を繰り返したところで、所詮結果は同じなのだ。

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