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  • 05/15/00:10

12.31.21:00

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 81回目 

 

 次のステージが始まろうとしていた。
 3人は待ってましたとばかりに、すでにタバコの火を消して、いつでも飛び出せる体勢に入っている。僕もほとんど無意識のうちに、まだ半ばほどしか吸っていないマルボロを灰皿に押し付け、グラスを傾けて少しだけ喉を潤していた。
 別に僕は踊ってみようかと思っていた訳ではない。前のステージでも、踊りたくてウズウズしていたなんてことも無かったし、踊れるかもしれないとさえ、思ってもいなかったのだ。それでも不思議な事に、ステージを前に体が反応していた。
 ♪悲しき街角♪のメロディーに弾かれるようにして3人がそろってダンスフロアに飛び出したのとほぼ同時に、僕はすっと立ち上がり、まるで吸い寄せられるようにして、1歩を踏み出していた。
 心の中では、「大丈夫なのか」と自問自答しながらも、それさえも意に介さずまるで別の意思が働いているかのように、歩みは止まらなかった。だが不思議な事に、僕をあれだけ苦しめてきた罵詈雑言や嘲笑と言ったものは一切聞こえてこない。病的に鼓動が速度を上げる事も無い。それらを不思議に思いながらも、さも当然であると言いたげな自分もまた存在している。
 三人の左隣に陣取り、体に染み付いているスッテップを自然に踏みしめる。そんな僕と目が合っても、3人はそろって驚く様子も見せずに、ただ笑顔で同じステップを踏みしめている。
 不意に脇腹を小突かれ、視線を移せば、そこにはRichardとMickyの姿。
「なかなかやるじゃねぇか」
 Richardがステージの音に負けんばかりの大声を張り上げ、僕はそれに笑顔で答えた。


                    <了>
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前回

この小説はフィクションです。

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