03.10.20:11
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11.22.22:40
小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1 その26
いつものように、三人で僕の車に乗り込み、フォルクスワーゲンタイプ2のオプション装備である燃焼式のヒーターを焚き、寒さに備えて積み込んでおいた寝袋と毛布にくるまった。
でも、僕の胸に詰まった有毒ガスのような嫌な気分が眠気を阻害して、とても眠れそうになかった。三人とも相変わらずの無言だが、恐らく誰一人眠っては居ないだろう。僕でこの調子なのだから、当事者であるRichardの心中は察して余りある。だが、やはりそんなRichardにかけるべき言葉も見当たらず、見開いた目で天井を見ているしかなかった。こんなときに頼りになるはずのMickyも、今回ばかりは適当な言葉を探し当てる事ができないらしい。
しかし、なぜ女と言う生き物は、ああいう場面で泣くのだろうか。泣きたいのはむしろ、振られた側だと言うのに。気持ちに応えられない申し訳なさからだろうか。それとも、自分に振られる相手の事が不憫に思えて泣くのだろうか。はたまた相手に何も言わせないためのポーズなのだろうか。いろいろ仮説を立ててみたが、どれもしっくりとこない答えばかりだ。
「結婚するんだ」
Richardが、突然ボソリと呟いた。突然の、そして突拍子のない言葉に、僕とMickyはほとんど同時に上体を起こした。
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*この小説はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。
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でも、僕の胸に詰まった有毒ガスのような嫌な気分が眠気を阻害して、とても眠れそうになかった。三人とも相変わらずの無言だが、恐らく誰一人眠っては居ないだろう。僕でこの調子なのだから、当事者であるRichardの心中は察して余りある。だが、やはりそんなRichardにかけるべき言葉も見当たらず、見開いた目で天井を見ているしかなかった。こんなときに頼りになるはずのMickyも、今回ばかりは適当な言葉を探し当てる事ができないらしい。
しかし、なぜ女と言う生き物は、ああいう場面で泣くのだろうか。泣きたいのはむしろ、振られた側だと言うのに。気持ちに応えられない申し訳なさからだろうか。それとも、自分に振られる相手の事が不憫に思えて泣くのだろうか。はたまた相手に何も言わせないためのポーズなのだろうか。いろいろ仮説を立ててみたが、どれもしっくりとこない答えばかりだ。
「結婚するんだ」
Richardが、突然ボソリと呟いた。突然の、そして突拍子のない言葉に、僕とMickyはほとんど同時に上体を起こした。
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