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  • 03/10/19:32

10.21.22:56

小説 ~Lover Shakers~ autumn season Vol.1 その16

 集中するとは言っても、僕の恋に駆け引きなど存在しない。そう言ってしまえばかっこよく聞こえるが、本当のところはそう言う事に頭が回らないのだ。押したり引いたりといった、まどろっこしく、しかも自分の気持ちを抑えなければならない行動と言うのが、元々不向きなのかもしれない。
 ダイアナ・ロスは、♪Can’t hurry love~恋はあせらず~♪と歌っているが、すでに走り出してしまった僕の恋心は、彼女の気持ちを確かめたいと、すでに先走り気味だ。
 確かに、これまでの展開としては申し分ない。彼女は終始にこやかだし、会話も滞りなく続いている。その何処にも無理は感じられない。第一、いくらRichardが、由美子との二人の世界を作ろうと頑張っている為とはいえ、直美はなにも僕とだけ話さなければならないと言う事は無いのだ。何しろ、それは男共の思惑であって、女性陣は、そんな事はこれっぽっちも考えていないはずだ。それに、Richardでなくても、Mickyもいるのだ。にもかかわらず、僕と直美もまた、ほとんど二人だけで会話をしている。
 これは、もしかすると、もしかする。そう考えても、不思議ではない展開だった。過去に、僕と直美の間に何も無かったのであれば、迷わず僕の頭脳は、そう言う答えを弾き出していたはずだ。
 だが事態は、そう単純ではない。僕には、直美に振られたと言う、無視出来ない事実が、まるで踏破不可能な、それでいて絶対に回避不可能な断崖の様に立ち塞がっている。この恋に立ち向かうのであれば、この問題を無視する事は不可能なのだ。
 僕が、そんなくだらない事に思考回路の全てを動員している間に、バンドのMCは終わりを迎えようとしていた。どうやら、先走る心とは裏腹に、このステージで、直美をチークに誘うという暴挙には出れそうにも無い。残念半分、安堵半分という心境の僕の耳に飛び込んできた次のナンバーは、パーシー・スレッジの”男が女と愛する時”。僕は、少々がっかりした。どうせ踊るならこの曲というリストの中に、この曲が入っていたからだ。
 そんな時、直美の口から、これまでに無い意外な言葉が飛び出したのを、僕は聞き逃さなかった。

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*この小説はフィクションです。登場する人物・団体名は架空のものです。
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