03.10.16:45
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09.21.22:45
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 26回目
「ちょっと、アンタ…」
Richardが僕の言葉を制した。酔いが回った頭では、すっきりと我に返ることは無かったが、それでも僕は口を噤んだ。もしかすると、すこし憮然とした表情になっていたかもしれない。
「少し落ち着けよ」
Richardがなだめる様な声でそう言った。僕は喋り過ぎたせいなのか、酒で焼けているのか分からない喉を潤す為に、再びグラスに手を伸ばした。その手をRichardが慌てたような素振りで止めた。僕の手首を握る彼の握力は尋常ではなかった。酔っているせいか、あまり痛みは感じなかったが、振りほどこうにもびくともしないのだ。僕は諦め、手の力をぬいた。
「あんまり酔いすぎると追い出されるぜ」
そう言うと、Richardは自分のグラスに僕の酒を移し、かわりにミネラルとロックで僕のグラスを満たした。酔いで回らない頭でも、僕は少し彼を見直していた。案外、良い奴かもしれない……と。
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この小説はフィクションです。
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