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  • 05/14/19:34

08.07.23:00

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.1その22

 いつの間にかスローナンバーが終わっていたのか、それとは明らかに異なる、ハイテンポでリズミカルなピアノが奏でるメロディが、トイレの中の僕の鼓膜をくすぐる。
「ひさ兄がリクエストした曲だ。”At the hop!”。邦題で”踊りに行こう”って曲なんだ」
 べーやんの目が輝いている。確かにこの曲のイントロには、それだけの力がある。いや、これまで耳にしてきた音楽の多くには、そういう力が溢れていたのだ。それを受け入れられなかったのは、僕が頑なに閉ざしてきた扉のせいに他ならない。
 その扉が大きく開かれた今、僕の五体は檻から解き放たれた野生動物のように、人の制御を離れたアンドロイドのように、自らの感じるままに、衝動に突き動かされるままに躍動する瞬間を待ち望んでいる。
 僕とべーやんはトイレの扉を勢い良く開けると、先を争うかのようにステージへと急いだ。
 そこにはすでにひさ兄とヒロ、それにLover Shakersの3人が踊っている。
 僕とべーやんもその中に加わった。
 べーやんの笑顔。
 ひさ兄の笑顔。
 喫茶店の男の笑顔。
 ヒロの笑顔。
 ツイストなんてさっぱり分からないけれど、僕は思いのままに体をひねった。ひさ兄やLover Shakersの面々はツイスト以外の動きも見せていたが、全部無視した。それは傍から見れば、”壊れた操り人形”以外の何者でもないかもしれない。でも今はそんなことはどうでもよかった。誰かから金を頂戴しているわけでは無いし、だれに迷惑をかけるわけでもない。
 音楽―
 その文字通り、音を楽しめればそれで良いのだ。
 今はただそれでいい。
 今はただそれだけで満足だった。

 いつまでもこの音楽の中で揺れていたい。
 大切な仲間と、この貴重な時間を共有していたい。 
 その思いを胸に、ぼくは今この時、この場所を全身全霊をあげて楽しんでいた。

 終電に揺られながら、僕達4人は家路をたどった。
 ひさ兄は酔いと疲労からか、隣で舟を漕いでいる。
 ヒロはコンビニで手に入れたスナック菓子を頬張りながら、メタボに磨きをかけている。
 僕とべーやんはそんなヒロに突っ込みを入れるが、もちろんヒロはお構いなしだ。
 車内では、酔いつぶれた中年や、人目を気にしないネジの外れたカップルなど、つまらない現実に溢れている。
 でも、その景色はいつもとは違ったものに、僕の目に映っていた。
 確かに現実には汚れたもの、つまらないものが溢れている。でも、それに埋もれてしまうかどうかは、自分の心の持ちよう次第なのだ。
 大袈裟かもしれないが、自分の人生を楽しめるか否かは、誰のせいでも、社会のせいでも無い。自分が楽しんでいるか否かというだけの事なのだ。何事もやってみなければ事の本質はつかめない。仕事も遊びもだ。僕はその事に、ようやく気付いたのかもしれない。
 少し輝きを取り戻した世界の中で、少しだけ前を向く事ができた僕は、この素晴らしい仲間達と共に進む、新しい夜明けを模索していた。

==============================

<了>
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お疲れ様です

          どうも


          「Shin」ですよ


          とうとう終わっちゃったのね


          コメント


          頭の中で 整理して


          あらためて おじゃましますね


          よければ 遊びに来て


          http://ameblo.jp/team-s-k-u-y/


          「Shin」 でした

  • 2008年08月08日金
  • shin
  • 編集
Re:お疲れ様です
 こんばんは。
 Jerryです。

>とうとう終わっちゃったのね

 はい。

 先にもまだ書きたい話は有るのですが、それはまた次回と言う事で…。
 最後の方の文章は、大分悩みながら、どうも腑に落ちない、納得がいかないという感じはありましたが、他によい文章も浮かばず、ああいう形となりました。
 如何だったでしょうか?

>コメント 頭の中で 整理して あらためて おじゃましますね

はい。

いつでもどうぞ。

お待ちしております。

>よければ 遊びに来て

はい。
早速お邪魔しました。

一応ゲストブック(?)にコメントを書いたのですが、ちゃんとUP出来ているか心配です。

 では、また。
2008/08/09 23:42

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