03.10.16:30
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09.01.23:31
小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 13回目
地下へと続く階段を下りながら、僕は祈り続けた。どうかRichardがいませんように―と。僕の祈りが届いたのか、額の中で微笑みかけるマリリンモンローが目に入る。女神の微笑が現実となりますように。
いらっしゃいませの声の後、一人であることを告げ、カウンター席へと薄暗い店内をウェイターについて進んで行く。180センチは軽く超えるであろう大柄なウェイターの背中で視界が遮られ、カウンターの様子は良く見えない。心の中でなおも祈り続ける。
ウェイターが立ち止まり、席を指されてハッとなった。ウェイターの手の向こう。赤と黒の開襟シャツが二つ。そのうちの一つの顔は、まがう方なきRichardその人だった。入り口近くのカウンター席に変えてもらおうかと振り返ってみたものの、すでに満席だった。祈るあまり、そんな事も見えていなかったらしい。せめて隣り合わせは避けようと、ステージを見ることは出来ないが、バーカウンターに変えてもらおうと口を開き掛けた時、忌々しい声が聞こえた。もちろんRichardの声だ。
「おうっ。待ってたんだぜ」
誰が頼んだ―
そう言いかけて、止めた。言葉を交わすことさえ、煩わしく思えたからだ。止む無く僕は席に着いた。
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この物語はフィクションです。
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いらっしゃいませの声の後、一人であることを告げ、カウンター席へと薄暗い店内をウェイターについて進んで行く。180センチは軽く超えるであろう大柄なウェイターの背中で視界が遮られ、カウンターの様子は良く見えない。心の中でなおも祈り続ける。
ウェイターが立ち止まり、席を指されてハッとなった。ウェイターの手の向こう。赤と黒の開襟シャツが二つ。そのうちの一つの顔は、まがう方なきRichardその人だった。入り口近くのカウンター席に変えてもらおうかと振り返ってみたものの、すでに満席だった。祈るあまり、そんな事も見えていなかったらしい。せめて隣り合わせは避けようと、ステージを見ることは出来ないが、バーカウンターに変えてもらおうと口を開き掛けた時、忌々しい声が聞こえた。もちろんRichardの声だ。
「おうっ。待ってたんだぜ」
誰が頼んだ―
そう言いかけて、止めた。言葉を交わすことさえ、煩わしく思えたからだ。止む無く僕は席に着いた。
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