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  • 05/16/10:11

08.21.23:06

小説~Lover Shakers~Outside Storys Vol.2 2回目

 スピーカーからはカスケーズの『悲しき雨音』。美しいメロディの中を泳ぐように、悲しげな歌詞が流れてゆく。僕の心の中でもシトシトと雨が降っている。絶望的な暴風雨では無いにしても、止む気配は微塵も無い。
 『晴れる日もある』
 何かの映画で聞いた台詞も、何の気休めにもならない。現実にはそうかも知れないが、心の問題となると、話は全く別なような気がする。
 僕のガラス玉のような瞳に映っているのは、ライトアップされ、タバコをくわえた男が描かれた壁を背負ったステージ。そしてその前に広がるダンスフロア。店内はほぼ満席にもかかわらず、カウンター席に座っている僕にはその全貌が見える。
 ほんの数ヶ月前までは、僕はあのダンスフロアに立つためにこの店に通っていた。でも、今では席を立つときと言えば、トイレに向かう時と、店を出るときぐらいだ。数ヶ月前の僕に、どうして今の僕を想像できただろうか。
 そう、あの日を境に、僕はダンスフロアに足を踏み入れる事はおろか、最初の一歩も踏み出す事ができない体たらくだった。

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この物語はフィクションです。
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